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いてざを象徴する矢は、射手の腕によって支えられるものだと言われるが、この物語では射手そのものが存在しない。
矢はただ、ある瞬間にそこにあり、放たれる。
では、その矢を放つ“動機”はどこから生まれるのだろう。
時代を問わず、世界のどこで生きるとしても、人は時折「ここではないどこか」を求める。
それは逃避でも野心でもなく、もっと根源的な響きを持つ感覚——静かな渇望のようなものだ。
「今いる場所に深く根を下ろしながらも、それだけでは終われない」という矛盾した衝動。
その衝動が矢を生む。
矢は“今を飛び越えたい”という浅い願望ではなく、“自分という存在の奥行きを確かめたい”という深い願いの延長にある。
不思議なことに、その願いは時代によって姿を変えて現れる。
ある時代では哲学だった。
ある時代では旅だった。
ある時代では芸術や学びだった。
そして今の時代では、言語化しにくい“心の動きそのもの”の探究になっている。
矢は、あなたの内側でずっと形を変えながら存在してきたのかもしれない。

次回もお楽しみに！