コラム


コラム:011:空を眺めるという行為は、古


2025年11月26日
空を眺めるという行為は、古い習慣のようでありながら、どの時代にもかすかに続く癖のようなものだ。誰かに教えられたわけでもないのに、人はふと空を見上げる。
心が満ちているときも、乾いているときも、答えがあるわけではないのに、気づけば視線は上を探している。
その原初的な衝動の奥に、いてざの物語は静かに息づいている。
矢は、空へ向かう筋道を象徴する。だがそれは未来に向かうだけの直線ではない。矢が飛ぶ瞬間に起きるのは、外に向けた到達ではなく、内側の深層から何かが解放される音だ。
「放つ」という行為は、無意識のうちに蓄えられていた問いを、宇宙へ向けて放り投げることでもある。
この物語には主人公はいない。
語り手も、語られる誰かもいない。
ただ、「空を見上げる意識」だけがある。
そしてその意識が、あなた自身の中にも、他の誰かの中にも、時代を越えて続いている。

一覧へ戻る

上に戻る