コラム


コラム:010:オリオンは人で、アルテミス


2025年11月21日
オリオンは人で、アルテミスは神。それでも、狩りを通してふたりの距離は自然に縮まっていった。
言葉は多くなくても、月下で歩く時間は不思議なほど心地よかった。
ある晩、オリオンは星を見上げながら言った。
「この地上に、俺が仕留められない獣なんて、もういない気がする」
その声音には自信よりも、どこか満たされたような柔らかい響きがあった。
しかし、そのひと言が、大地の神ガイアの怒りを買った。
――人間が、神の領域に近づこうとしている。
その傲慢さを罰するため、ガイアはひとつの影を地中から放った。黒い甲殻を持ち、鋭い尾を掲げた巨大な蠍だった。

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